
時を超えて、今も静かにたたずむ古い町並み。
出会った人々に温もりや優しさを感じました。
倉吉市は、鳥取県中部の町で、県中部の玄関口です。古くは、南北朝時代から室町時代にかけて倉吉市のシンボルである打吹山(うつぶきやま)に建てられた「打吹山城」の城下町として栄え、江戸時代には商工業の中心として繁栄した町です。
町の中心を流れる玉川沿いへ。江戸・明治時代に時間旅行。
倉吉の町に入ったとたん、どことなくのんびりした懐かしさを感じます。それもそのはず、豊かな自然の中にある歴史の遺物や町の風景、そして出会う人々。すべてが優しさに包まれていました。白い漆喰壁に黒の焼き杉板、屋根には赤い石州瓦。軒下の曲がった腕木、京風の繊細な出格子そしてゆるやかな反りを持つ一枚石の石橋が玉川沿いにかかっています。戦火を逃れた町並みは、山陰の小京都とも言われ、国の打吹玉川伝統的建造物群保存地区に選定されています。のんびりした中に古い蔵を改装した施設は『赤瓦』と名付けられ、名菓に地酒、特産品などのお土産品はもちろん、こだわりのお店や工房など十二の蔵があります。お店はどれも個性豊かで、古い酒蔵や醤油蔵を覗きながらのんびり散歩すると時間の経つのも忘れてしまうほどでした。倉吉は、時代を映す風情だけでなく、そこで暮らす人々の中にも昔ながらの人情も引き継がれているような気がしました。
今によみがえる古き町並み。感動の発見があちらこちらに。
玉川沿いの「白壁土蔵群・赤瓦」には、一号館、二号館の他に、歴代の天皇に竹細工を献上している大正元年創業の「三号館・中野竹藝」、京風町家の佇まいと醤油の香りが漂う商家「六号館・桑田醤油醸造場」、懐かしい格子戸が残る「七号館・元帥酒造本店」をはじめとして全部で12の店舗があります。その他にも「倉吉ふるさと工芸館」では、倉吉の伝統工芸である「倉吉絣(くらよしかすり)」が、ずらりと展示してあります。また、地元の女子高生に大人気の「果実とスムージーのお店・くだものや」と言う可愛いお店もありました。
“名探偵コナン”に出会いました。「青山剛昌ふるさと館」。
倉吉市のお隣の町、北栄町は「名探偵コナン」の原作者、青山剛昌氏の生まれ育った地。この地にある「青山剛昌ふるさと館」は、7つのゾーンに分かれていて、青山氏の小学生時代のノートの落書きや漫画家初期の短編集の原画などが展示されていたり、「名探偵コナン」に登場するおなじみの発明品やトリックを実際に見たり、聞いたり、体験出来たりと、子どもだけでなく大人も楽しめます。漫画に登場する人気キャラクターの集まるマリオネット劇場や、氏の仕事場が忠実に再現してあるコーナーもあり見所いっぱいの「コナンのふるさと」でした。
至福の時間を探しに貝殻節の里、浜村温泉へ。
明治の文学者ラフカディオ・ハーン小泉八雲が、“ありがたい温泉がある”と「知られぬ日本の面影」の中で述べた浜村温泉。そして“何の因果で貝殻こぎなろた~”で有名な貝殻節の里の「旅風庵」さんに今回お世話になりました。こちらの特徴は良質のナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩泉の温泉。源泉掛け流しの温泉は、溢れんばかりの湯量で、露天風呂・大酒釜風呂・貸し切露天風呂などがあり何度もいろんなお風呂を楽しみました。そしてお楽しみのご馳走は、山陰日本海の旬の幸の膳。舟盛りやさざえの壷焼き、岩牡蠣をいただきました。おかみさんを始め宿の皆さんの温かいおもてなしで、ドライブで疲れた体と心が本当に癒されました。
甘く見てはいけない感動体験の梨パラダイス。
帰路の途中立ち寄った倉吉パークスクエア内の「鳥取二十世紀梨記念館・なしっこ館」。“梨”をテーマにした日本で唯一のミュージアムです。入ってまずビックリするのがそのスケール。館の中に、かつては一本の木で4000個の梨をつけたという枝の広がりが20mもある巨木が樹脂加工され当時の姿で展示されていました。他にも鳥取県が二十世紀梨の一大産地になるまでの歴史を映像と精巧なロボットのお芝居で紹介する「二十世紀梨ものがたり劇場」や、梨の歴史や梨づくりを様々な映像やジオラマで楽しめたり、試食コーナーやフルーツパーラーがあり、梨の魅力をたっぷり体験しました。
おいしい!新鮮!安い!山陰の幸は、満足を超えています。
浜村温泉・旅風庵
今回のお宿は、倉吉市のお隣、浜村温泉の「貝殻節の里・旅風庵」さん。贅を尽くした味わいの“旬の膳”が自慢です。日本海の幸が満載の舟盛スズキ、甘エビ、ヒラマサ、アジに鯛。舌がとろけます。お話もお酒も進みました。
●住所/鳥取県鳥取市気高町浜村温泉
●宿泊料金/【日本海の幸満載舟盛プラン】7,850円~
(朝夕2食付)/お一人様(定員1名~6名)
※料金の表示は目安です。HPでご確認ください。
●お問い合わせ/0857-82-0531
●HP/http://www.ryofuan.jimdo.com/
町家清水庵(せいすいあん)
大正初期に建築された町家を利用した食事処。家の中に吹き抜けと2階の渡り廊下。ゆったりした空間を楽しめます。
餅しゃぶ(1080円)のお餅は全部で12種類。人参、しいたけ、ブルーベリーなどもあり、とってもカラフル。野菜、とちもち、茶碗蒸し付。野菜を入れて、出汁が沸騰したところで、お餅を一枚ずつ5~10秒つけてそのままいただきます。