
数多くの文人に愛された街、名作がいくつも誕生した街、路地の坂道をのんびり訪ねる
坂の街、文学の街、映画の街と言えば、広島県尾道市。古くから港町として栄え、その美しい町並みや景色や情緒から、多くの文学や映画の舞台に取り上げられて多くの人を引きつけています。四国からは、しまなみ海道や瀬戸大橋を渡れば意外と近い感動の舞台です。
尾道水道と瀬戸の島々が織りなす美を楽しむ
尾道の見所は、JR尾道駅から東側の千光寺を中心に広がっています。千光寺山の麓から山頂までを結ぶ千光寺山ロープウェイで、3分間の空中散歩を楽しんでいると、眼下に広がる穏やかな尾道の町並みや尾道水道を往来する渡船や遠くに見える瀬戸の島々の美しさに思わず息をのみます。多くのお寺がある尾道、シンボル的な存在なのが千光寺。舞台造りの本堂からの眺めは絶景です。
- (写真左)千光寺の本堂の舞台からは尾道市内をぐるりと見渡せます。
- (写真右)千光寺ロープウェイ山頂駅。ここから下りながらのお散歩がオススメコース。
多くの作家が愛し、映画の女神に愛されるまち
千光寺山山頂からは、そのまま「文学のこみち」へ。自然石に刻まれた25の文学碑があり、志賀直哉、林芙美子など尾道を愛した文人の思いが伝わってきます。中腹には、民家を縫うようにいくつもの細い坂道が延びています。作家ゆかりのスポットやカフェがあり、尾道情緒を満喫。猫のモチーフがある「猫の細道」や映画にも登場した「千光寺新道」もあり、何度も行ったり来たりでした。
- (写真左)千光寺山中腹にある「志賀直哉旧居」。ここに1912年に移り住みました。
- (写真右)いたるところに尾道の細い坂道。履きなれた靴で。
ひっそり輝きを放つ「路地裏」をそぞろ歩き
尾道の山と海の間を平行して1.6km伸びている「尾道本通商店街」。昔ながらのお店あり、新しいお店あり、実に個性的なお店が建ち並んでいます。こちらは、井戸がある路地や鳥居がある路地、細くて一人しか通れそうにない路地で商店街を結んでいます。どことなくノスタルジックな路地裏探検をしながら散歩をしていると、地元の人が“毎日歩いても飽きない”と言うのも納得です。
- (写真左)約3,000点の招き猫の作品に圧倒された「招き猫美術館」。大正時代の民家を改造して作ったネコの額ほどの美術館には招き猫神社が。
- (写真右)ノスタルジックな路地の商店街をお散歩。
3分間の世界一短い船旅がびっくり料金で
尾道のもう一つの風景と言えば、渡船。対岸の向島(むかいしま)に挟まれた東西に長い幅約200m~300mの狭い海「尾道水道」を3本のフェリーが毎日行ったり来たり。片道3~5分の市民や観光客には欠かせない足ですが、映画やドラマにも数多く登場する尾道の風物詩です。車から降りる暇もないくらいですが、その料金の安さとともにお手軽にクルージングを楽しみました。
- (写真)福本渡船の尾道側の土堂桟橋から向島に出発!運賃は片道大人100円、自転車・バイクは110円、車は軽が120円、普通車でも130円という安さにビックリ!切符はなくて、乗ってから係の人が集めにきます。
島や船が見えたり隠れたりの楽しいドライブ
向島に渡ると、さすがサイクリストのしまなみ海道の島。レンタサイクルターミナルやサイクリングロードが整備されていました。車を置いて島内巡りも楽しそう。周回道路を走っていると瀬戸内の島や浮かぶ小舟がのんびりとした風景を見せます。向島と言えば造船の島ですが、NHK連ドラ「てっぱん」の村上あかりちゃんが育ったまちです。交通量も少なく、のんびりドライブを堪能した尾道でした。
尾道の新名所はオシャレ感満載、ワクワクいっぱい
戦時中に建てられた倉庫をリノベーションした「ONOMICHI U2」は、尾道の新しい人気のスポット。館内にはサイクリスト向けに設計されたホテルをはじめ、スポーツバイク専門店、瀬戸内でとれた魚介類や野菜など使った料理が味わえるレストラン、天然酵母を使ったパン屋さんなどがあり、サイクリストだけでなく年代を問わず楽しめそうな空間です。
名物あり、郷土料理あり、海の幸あり、たっぷり堪能するONOMICHIの味めぐり
小魚と釜ごはんの店「ざこや」
いらっしゃい!の元気な声で大将の芝本浩三さんがねじり鉢巻で迎えてくれたのは、福本渡船乗り場前にある「ざこや」さん。創業43年の尾道の老舗料理屋さんです。牡蠣やしゃこ、おこぜ、あなごなどすべて地物の小魚類を使っているから「ざこや」なんですって。
(写真)瀬戸内海の小魚料理と名物の手作りざる豆腐など心のこもった手料理を堪能。おこぜ唐揚げ(2,900円)、生しゃこお造り(800円)など。
●住所/広島県尾道市土堂1-11-14
●営業時間/11:00~15:00、17:00~21:00
●定休日/水曜日(祝日の場合は翌日)
●お問い合わせ/0848-23-8346
行列ができるラーメン店「朱華園」
商店街の入り口付近で“ぷ~ん”とラーメンスープの香りが漂っています。いやが上にも食欲がそそられるのが「朱華園」さん。地元では、“しゅうさん”として親しまれています。
(写真)これぞ尾道のソウルフード!自家製麺にスープは鶏ガラベースの醤油味の「中華そば」(600円)。やみつきになる味です。
●住所/広島県尾道市十四日元町4-12
●営業時間/11:00~19:00(スープ・麺がなくなり次第終了)
●定休日/木曜・第3水曜(祝日の場合営業)
●お問い合わせ/0848-37-2077
尾道発のB級グルメ「いわべえ」
27年前からお好み焼きを始めて、いまや尾道を代表するB級グルメにまでになった、とご主人の藤井央さん・あさえさん。お二人に手際よくそして仲良く焼いていただきました。
(写真)尾道産のイカ天と砂ずりにゆでた麺を加えて焼き上げる「尾道焼」(850円)と砂ずりの代わりにもちとブタを入れた「いわべえ」(800円)ボリュームたっぷり!
●住所/広島県尾道市十四日元町1-23
●営業時間/11:30~15:00、17:00~19:30(L.O)
●定休日/木曜日、1月は2日から営業
●お問い合わせ/0848-37-2325
手づくりアイスクリーム「からさわ」
こちらは、アイスクリームを昭和20年代半ばから作っています!お店の前の堤防上の“からさわベンチ”で抹茶のもなか(150円)とたまごのコーン(240円)。
●住所/広島県尾道市土堂1-15-19
●営業時間/10:00~19:00(11月~2月は18:00)
●定休日/火曜日(祝日の場合翌日。12月~2月は火曜日・第2水曜日)
●お問い合わせ/0848-23-6804
味付けちりめん・つくだに「北前亭」
江戸時代中期に創業した老舗。広島名物の食材で作ったちりめんは、アツアツのご飯にぴったり。ご飯と一緒に食べられる試食コーナーは人気です。